こんにちは
今回は本セミナーで学んだことをもとに企画「デュラハンの頭」について、投稿したIVRC2017の審査結果とその反省点を書いていこうと思います。
まず結果から申しますと不合格でした。
不合格という結果は残念でしたが、自分が思っていたより嬉しかったことや分かったことが多かったです。
IVRCの評価基準である新規性、技術、体験の3つの観点において自分が想定していた審査員の評価は
1.似た作品が多数ある
2.ワイヤレスでない
3.新しい体験を見出だせていない
といった感じになると想定していました。
1に関してはこういった企画をしていればほぼ必ずぶつかる問題だと思ってたので
視点を低くするでもなく、交換するでもなく自由に動かせるようにする、という仕様にしました。
そしてデュラハンの頭という名前をつけ、明確に違うものであると印象づけました。
2に関してはワイヤレスだと映像を送信した時に劣化してしまうのではと思い、有線でつなぐという設計に
しましたが、しっかり調べたらどうやらフルHD程度の映像であればワイヤレスでも安定して送信することができるようだったので
これは完全に自分の調べ不足でした。
3に関しては、この企画を思いついたときからずっと悩んでいて、作ったところで(これで何ができるんだろう・・・)と思い、
意義のない企画なんじゃないかとどんどんマイナス思考に陥ってしまい、モチベーションを下げる原因になってしまいました。
最終的な企画提出のときには、ある程度意義のあるように見える体験を考えて、企画書に加えましたが、今でももっと
いい体験があったのではないかと思って考えています。
上記のような想定に対して、実際の審査員の評価は
審査員コメント1
「視点が自分の身体を離れるという作品は「視聴覚交換マシン」「Floating Eye」「Childhood」など、今までにも存在する。
この作品は「デュラハンの頭」というコンテクストを与えたことで、より汎用性の広いものになっているように思われる。
その分、このシステムを用いてどんな体験をさせるかが重要で、ギロチンなどはインパクトは強いだろうが、
その場限りのホラーに終わってしまうのではないか。テニスの例は、地味かもしれないが意義がある。新しい発見をもたらすような体験の組み立てを期待する。」
審査員コメント2
「Flying HeadやIVRCの過去の作品であるChildhoodが視点操作という同様のコンセプトを実現していると思いますが,
頭部を手で動かすというコンセプトは新しいと思います.実際の頭部動作との同調が得られない場合にどのように感じるか,
という点は興味が有るところです.(バーチャルの)頭部をどのように動かすことができるか,という点を色々模索されると良いと思います.」
審査員コメント3
「自身の視覚を変換するという作品は過去のIVRC(childhood)や東京大学暦本先生の研究(flying head)を筆頭に多数あります.
それらと比較して何が新しいのかを議論できると作品の価値が高まると思います.一つ興味深い点としては,
頭に感圧センサが,ヘルメットデバイスに圧力提示デバイスが搭載されている点です.
触覚が加わることで体験が先行研究と比較してどのように変わるのでしょうか?単一でない,
空間解像度にすぐれた触覚提示の実現に期待します.
技術的な点においては,デュラハンの頭が持ち運びの自由度があがること(軽量,ワイヤレス等)を期待します.
これにより参加者の行動に制限がなくなると体験のインパクトとしては大きいと思います.」
審査員コメント4
「体験者の視点と異なる映像を見せるというのはよくあると思いますので、映像的なものも含めて面白さのポイントを検討されるといいと思います。」
と言った感じでした。
こうしてみると、やはり体験の部分に足りない物があったように感じます。
ただコンセプト自体に一定の新規性は認めてもらっていたようなので、強く意義のある体験を見出すことができれば
より新規性と体験の部分を評価してもらうことができたと考えます。
他にも至らなかったところは多数あると思いますが、
今回の経験を今後に活かしていけたらいいなと思います。