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Part2 IVRC「経験値」の創造―山本晴貴―

 こんにちは、山本です。二回目という事で、少しコツが掴めてきたかな、と感じています。

 

~前回を振り返って~


前回のセミナー(5/10)で、IVRCの過去の作品達を見ていきましたが、最近ようやく世間に認知されだしたHMDを当たり前のように使っていたりARの前身のような作品があったりと、まさに次世代機の先駆者と言った作品ばかりで、最先端の最先端といった感じでした。実際、10年以上前にIVRCに参加していた学生達が、現在の最先端を突っ走っているわけです。

当時「なんじゃこりゃ」と思われていた作品が、現在の業界を席巻していく。過去作品を調べた感想としましては、正に掘ってみるまで何が埋まっているかは誰にも分からない。磨いてみないとその全容を掴めない。埋まっているモノの価値は、その道に精通した人ですら実際に掘りだして磨いて見るまで分からないので、誰も掘ってない所があったら、ピン!と来たらとりあえず掘ってみるってのが重要なんだなぁと感じました。無論、二番煎じだったとしても磨き方を工夫すれば大きく化けると思います。

 

~ピン!と来た作品達~


私がIVRCの過去作品の中からピンときた作品を幾つか紹介したいと思います。​

 

まず、IVRC2016から、「THE JUGGLINGM@STER(2016)」です。

THE JUGGLINGM@STER(2016)

 

この作品は、仮想現実でジャグリングが可能という非常に画期的なシステムだと思います。HMDとKinect、体感型デバイスを組み合わせれば、体験者の得られる経験の幅は非常に広がると思います。

 

次に、IVRC2011から、「ペタンコ麺棒」です。

ペタンコ麺棒(2011)

SONY DSC

麺棒で物体を潰す非常にリアルな感触を味わえます。現実では潰せないモノを潰す感触を味わえるという、新しい経験を創造した点に非常にグッときました。

 

最後に、IVRC2000から、バーチャルチャンバラです。

バーチャルチャンバラ (2000)

図1

 

フライホイールにより発生するトルクを利用することで剣を受けた際の「手応え」を再現していて、その発想に非常に感銘を受けました。フライホイールをX軸とY軸の二軸にすることで、更にリアリティーのあるデバイスに仕上がるのではなでしょうか。剣に収まるサイズのフライホイールでどれだけのトルクを発生させる事が可能か調査する必要がありますが、この「トルク」という要素は、次世代コントローラーの「コア」を担えるだけのポテンシャルを秘めていると確信しています。

 

 

~こんな企画を作ってみたい~


上記で紹介した作品は全て、「経験の創造」に焦点を当てて選んでみました。

ゲーム内で得た経験やスキルが、現実世界でも実際に反映されるゲーム。つまりは現実世界の「経験」をゲーム的に「創造」している点に魅力を感じました。

ロールプレイングゲームで時間を惜しまず、ひたすらレベルを上げを行えるのは、単純に楽しいというのも有りますが、「モンスターを倒せば必ずレベルが上がる」という、「システムによって保証された将来への確信」という点も一つの大きな要因だと思います。今、敵を倒せば倒すだけ、将来必ず強くなれるという「将来への確信」を持って初めて、今という時間をレベル上げに費すことが出来るようになるのではないでしょうか。

日常生活に付き纏う、今やってることが無駄になるんじゃないかという「将来への不信感」によっていまいち頑張れない各種「経験」達を、ゲーム的な「システムによって保証された将来への確信」を付与し、これらをゲーム的に「経験」することが出来るようになれば、もっと楽しく「レベル上げ」出来る世の中になるんじゃないかなと思いました。

 

そんなわけで、「遊び人」もレベルを上げれば「賢者」になれちゃったりするので、質の良い「経験値」を持ったメタルなスライム。頑張って創っていきたいです。

Published in2017年度前期