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IVRC2017審査結果を経て

こんにちは。近藤です。

 

台風がやってきたり雨が止まらない時期がやってきましたね。駅から大学まで自転車の僕は気が滅入る時期になりました。個人的にバスが好きではないので車が欲しいです。

 

さて、さっそく本題に。IVRC2017の企画書を提出してから早くも一カ月弱、とうとう審査結果が届きました。僕としては最初から自分で育ててきた企画ではありませんが、だからこそ、これからの準備で巻き返そう。そう思っていました。

 

僕らの企画は、「フライホイールを用いた刀型デバイスによってHMDで表示した仮想の物体を切断し、その感触を得る」というものでした。新規性としては剛体通しの”接触”ではなく、剛体・柔体様々な物を”切断”する感触を返す。という提示をしました。

もちろんIVRC2000「バーチャルチャンバラ」も引用しました。

 

結果は不合格でした。

 

類似作との差異などには注意したし、新規性を盛り込み、体験に当たって本物を扱ったことがある経験者(まあ僕なんですが)の意見なども摺り合わせて拘ったつもりでした。セミナー生の間で何度も企画書を読み合わせ、評価し、互いの企画をブラッシュアップしてきました。その結果、最初の企画書とは比べ物にならないレベルになったと思います。

また、我々はまだ学生で、きちんとした企画を立て、企画書を書いたことは初めての人が多かったことでしょう。勿論経験が無い分至らない部分は多くあったものと思います。なので合格したかったのは勿論、そこに至らなくてもこの企画書を読んだ技術者、指導者の方々はどういうアドバイスを授けてくれるのか。実際にバンバン企画を通している人達から見たら何が足りないのか。それを次回以降に生かしていけたら。

今回のIVRC2017は応募総数が全部で138件と母数も多く、審査する先生方も一つ一つにあまり時間をかけられない。そういう話は聞いていましたし、またそれもそうだと納得していました。VRという業界が発展しつつあり、その業界を目指す学生も増えてきて、審査は激戦になるとは思っていました。そうまで自分の中で状況を理解したうえで、至らない部分はなかったのか、どうしても似通った点が出ていたのか、技術的に不可能ではないかなどのお言葉を頂けると思っていました。

 

審査結果からは過去作との差異、主張したい新規性をきちんと汲み取っていただけた評価がありました。また、デバイスとのラグに指摘を受けたり、本企画の力学機構については『力覚提示の機構としては,高速回転するフライホイールを用いた方法がすでに存在し,やや物足りなさを感じます』との指摘を受けました。確かに過去作との体験の類似性、そこからの差異には注意していましたが、それを実現する手段に類似性があると指摘されることもあったとは思ってませんでした。過去作では剛体と剛体の”接触”の感触提示でしたが、本企画では”切断”の感触提示としていました。また、『フライホイールを用いずにVIVEコントローラやトラッカを用いた方がARマーカーに対しての高速動作でも対応できるのでは』という言葉からも技術的類似性を言われていたなと感じました。

 

また、『肉に近い(ブレーキ)シュー,発想は面白いが,特性が肉に近いということはちぎれて周囲に飛び散る可能性が高いということでもある』ということを指摘されました。実際に試作出来ていなかったこともあり、シューが繰り返しの体験により劣化する可能性は確かに考えが及んでいませんでした。「肉を用いた場合」はあくまで一例のつもりでしたが、実際に運用することになった場合、周囲の体験や参加者、開場に迷惑がかかってしまう可能性も無いとは言い切れませんでした。しかし、まさか会場で生肉を使うわけでもないのでそこで合否が分かれたのだとすると納得できない部分があります。ブレーキシューに利用すると言っても、体験者の「アレが斬りたい」「コレが斬りたい」に合わせてシューを交換したりなどはしないので耐久性は考える問題になっていくはずです。そうなるとデバイスをシューで分けて数種類用意するのかとか、それだとデバイス、体験の応用性が無くなってしまうので意味がない、なんて話になっていきます。

 

また、この評価をご覧下さい。

元も子もない…。類似作との差異、新規性を提示し、他の評価者にはちゃんとわかってもらえていた部分でこういう評価を頂いてしまうとなると最早完全オリジナルを生み出すしか通らないまでありませんか。せめてどこの何と言う企画とこういう点でパクリだと言われればまだ納得も出来るんですが。かなり多数の応募作品の中から企画書に目を通し、1つずつに目を通して審査をする大変さはわかりますが、本企画のどういった部分がどのように足りなかったのかがまるでわからず、我々企画者としてもどう改善して良いかがわかりませんでした。

 

また、共同企画者と反省会をした結果、先行事例との差別化をもっと明確にする工夫や考察が不足していた、前述したシューについてもう一文付け加えておけばあの評価文については修正出来ていたのではないか、等の意見を交換しました。私が企画にかかわるのがほぼ企画書提出目前であった事もありますが、こういった意見の交換などもあまり出来ていなかったのだと思わされました。それだけに、私の剣道に対する熱意と共同企画者のこの企画への熱意が噛み合わなかったのかと思うと悔しい思いです。

 

さて、今回の評価を受けて、悪い点を指摘されたというより、「ここ、考えてあるの?」といった穴を指摘されたなという感じでした。それでも、「体験してみたいと思うが」、「面白い」、「これまでの作品との対比も明確」など、これ以上ない言葉も一緒に頂けました。ただ、4人に評価していただいたところ、4人ともに指摘された部分と言うのはありませんでした。つまり、個人の受け取り方の微妙な采配で通らなかったのだと思っています!ブレーキシューの利用の書き方、フライホイールによる体験をもう少し詳細に書いておけば、もしかしたら通っていたのかもしれません。もっと共同企画者と顔を突き合わせる時間が長ければと思います。

 

 

ではまた。

Published in2017年度前期