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2016年度後期セミナーブログ 第8回 “渋谷見学”/有賀安央衣

白井先生とセミナー生で渋谷見学に行きました.

写真を撮ることは文章を書いたりスケッチしたりするよりも自分の潜在的な興味が反映されるという,白井先生の言葉のもと,研究室の一眼レフカメラをお供に一日歩きまわりました.

 

朝は10時に渋谷駅に集合しました.

迷いながらなんとかハチ公前に到着.駅の構内の案内がびっくりするほど分かりづらかったです.路線がたくさんありただでさえ複雑なので,せめて案内は親切にしてほしいと思いました.ハチ公口がある方面は示しているが,そのまままっすぐではなく振り返らなければならない今回の場合は,方向を変えた先々に看板があると良いのかなと思いました.

 

途中VRゲームの置かれたゲームセンター等を見つつ,最初の目的地NHKスタジオパークに到着しました.

ここでは,先生が協力された番組の収録を見学しました.

リハーサルの様子はスタジオに入り,まさに目の前で見せてもらいました.見たことのない機械がたくさんあって胸が躍りました.そんな中,30人ほどいるスタッフさんが,出演者の代わりにセットに入って位置を確認したり,それに合わせて照明やマイク,カメラの位置を変えたりしていました.台本や指示に合わせて慌しく動き回る様に目が回りそうでした.意外と20代から30代ほどの若い方が多く驚きましたが,これだけあっちこっち飛び回る仕事なら確かに,と納得しました.また,スタジオの天井には一面にびっしりと照明が下がっていて,光の当たり方を細かく調整できるようになっていたのは面白いと思いました.私にはどこがどう変わったかよく分かりませんでしたが,見ていて気持ちの良い画面を作るにはやはり細かいところまでこだわる必要があるのだと感じました.

本番の収録はスタジオ外の廊下で見ました.まだ編集の入っていない生の映像はなんとなく素朴な感じがしました.ワイプ用にVTRに反応している出演者の全体を見る機会はそうそうないので,とても興味深かったです.出演者さんたちはリアクションの練習をしているという先生の解説を聞きながら見ると,普段は遠く感じる芸能人の方の人間味を感じられて余計に面白かったです.1時間半ほどの収録でしたが,それが30分になってしまうと聞いてとてもびっくりしました.私は1時間半終始笑っていたので,なんだかもったいないなとも感じました.でも,見せるもの見せないものを自由に取捨選択でき,印象を演出できるコンテンツだからこそ,素材はたくさんあった方が良いのかもしれません.

とても密度の濃い見学でした.

 

続いてバスを乗り間違えながらもTEPIAへ.

導入部分にはバイオミメティクス技術に関する展示がされていました.なかなか字が細かくて解説を読むのは大変でしたが,見出しや展示から,虫や他の生き物を参考に効率の良い技術を開発しているということは分かりました.

ツアーを申し込んでいたので係の方に案内してもらいながら奥へと進みました.順路のちょうど真ん中あたりに未来のリビングをテーマにした空間があり,そこにExPixelが置かれていました.

リビングと言うにはいささかカオスな気もします.ExPixelがそれに更に違和感を加えてしまっているように感じました.コンテンツに関しては女の子が踊っているアニメーションよりはニュースだったり報道バラエティのようなものの方が雰囲気に馴染むと思いました.また,3,4歳~小学生くらいの小さい子供が多い印象を受けたので,それこそNHKの子供向け番組のようなものでも良いのかもしれないと思いました.さらに展示の方法が,画面の前に置かれたテーブルに立っている小さな窓を覗くと,画面が変わって見えるというものでとても分かりづらかったです.ちょっと趣旨とは外れるかもしれませんが,画面の中央3分の1のあたりに窓を垂らし,遠くからでもパッと見で画面が変わっていることが分かるようにしてしまうのはどうだろうとも思いました.

 

ExPixelの奥にMangaGeneratorが置かれていました.こちらは修学旅行できた中高生や外国の方に人気があるということでした.実際に体験してみると,kinecがスクリーンに向かって左側にあり,正面のスクリーンを見ながらの操作が難しいと感じました.体全体を使って表現するコンテンツなのでせめて正面にあってほしいと思います.また,文字だけでなく音声による説明があっても良いのかなと思いました.

とても面白い展示ばかりで,しかもそれらを無料で見られるなんて贅沢だなと思いました.でも無料で見られるだけに,さっと展示を通り過ぎてしまってひとつひとつの面白さがなかなか伝わらないのではとも思いました.ツアーではお勧めの展示を細かく説明してくれたのでとても分かりやすかったですが,一人で見て回るときは展示の前で止まってじっくりと解説を読まなければならず,それは難しいと思います.そこでまずは来館が多い小さい子向けに,マックのプレイランドのようなくぐって通れる道を作って,その要所要所に展示を持ってくれば必然的に触れることになってその面白さが伝わるんじゃないかなと考えました.

 

TEPIAに閉館までいた後,表参道に移動し,そこで行われていたSWEETS by NAKEDに入りました.

ネオン看板のキャンディーや石畳のチョコレートブラウニーなどところどころにちりばめられた本物のお菓子から漂う甘い香りに初っ端からやられてしまいました.視覚だけでなく嗅覚にも訴えかけてくるのはずるいと思いました.中に入ると意外にも狭くて,2,30人も入れそうにないくらいの広さだったのですが,時々刻々とマッピングが変化することや,隅々まで作りこまれたセットに,つい時間が経つのを忘れてしまうほど夢中になってしまいました.スタッフがスタッフとしてではなくお菓子の街の住人として振舞っていたことやモニターなどの機械が目立たないようになっていたのも,世界観にのめりこませる要因だったと思います.キラキラしたもの,想像を具現化したようなもの,現実世界とは全く別のものに惹かれるのかなと思いました.それに加えて視覚や聴覚のみならず,嗅覚や味覚,触覚も刺激することで現実との境目が曖昧になり,より印象に残る体験になると思います.

 

 

渋谷をこんなに歩き回ったのは初めてでした.そういう意味でもとても有意義な一日になりました.また,3ヶ所の主たる目的地の見学を通して,何かを作る者の視点で見るということを学びました.十分に分析して自分のものに落としこむにはまだまだですが,柔軟な発想力を身に付ける布石になったのではないかと思います.

Published in2016年度後期