NHK技研公開 見学レポート

先日(29日)、東京都世田谷区のNHK技術研究所で行われた「NHK技術研究公開2013」に見学しに行きました。
本来一般の学生は入場できないビジネスデーだったのですが、研究室の教授のおかげで特別に入ることができました。
いくつか僕の印象に残ったブースを紹介しようと思います。

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NHK技研入口前。趣を感じます。

ブース番号[9] スーパーハイビジョン長距離光伝送システム

NHK技術研究所が中心となって研究開発をしているスーパーハイビジョンの光ファイバーを用いた長距離伝送システムの開発ブースです。
大画面、超高精細度を誇るスーパーハイビジョンの大容量の情報(72Gbpsの非圧縮スーパーハイビジョン信号)を、
無中継(1本の光ファイバー)でなんと300kmも伝送できるというシステムを展示していました。
300kmとはすごい!僕の実家(静岡)からここ東京世田谷まで余裕で届くなんて…
実物の光ファイバーも展示してありました。巻いてあったのであまり実感は得られませんでしたけれども。

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赤い筒に全部で300kmの光ファイバーが巻かれてます。

ブース番号[21] 広色域スーパーハイビジョンシステム

スーパーハイビジョンは、高質感・高臨場感を伝える為に鮮やかな色を正確に表現できるよう広色域表色系を採用しているそうです。
それを実現させるスーパーハイビジョンカメラとスーパーハイビジョンプロジェクターを展示していました。
とにかく色が綺麗!展示されていた実物の被写体と遜色ない高彩度でした。カメラもすごいけどプロジェクターもすごい!

講堂 スーパーハイビジョンシアター

スーパーハイビジョンによる11分間の映像放映です。
ロンドン五輪のダイジェストやリオのカーニバルの映像を通して、その実力を体感してもらおうという試み。
映画館のスクリーンサイズで見るスーパーハイビジョン。もちろん初体験でしたが、圧倒的な高精細度に眼が離せませんでした。
観戦席に座る背景の観客の顔や、構えているカメラまで丸見え!舞い散る紙吹雪も一枚一枚が良く見える。
その場にいるような臨場感を味わうことができました。

ブース番号[1,2] ハイブリッドキャスト,ハイブリッドキャストのさらなる進化

都合上一番最初のブースを一番最後に回りました。そして一番印象に残ったブースでもあります。
ハイブリッドキャストは、ネットと放送の連携により今までにない様々なサービスの提供を目的とした技術です。
放送に合わせてスマホのアプリを起動し、それによって実現されるサービスの例などが展示されています。
中でも感動したのが、NHK番組「おかあさんといっしょ」とiPadのハイブリッドキャスト使用例です。
番組中の「お絵かき」にリアルタイムで参加してテレビを見ながら絵を描き、それを送信して共有するものや、
テレビに表示される音符と音楽に合わせてiPadをタッチして遊べるリズムゲームを遅延なく楽しめたり、まさにゲームと放送の融合でした。
この企画の秘める可能性は、ゲーム業界に大きく関わるものだと思います。新たなビジネス市場が近い将来必ず登場するわけです。

このハイブリッドキャストを用いれば、番組を介して視聴者同士の対戦ができたり、
いろいろな動画サイトで見るような「流れるコメント」を、放映されている番組に対してリアルタイムで共有して表示させたりすることができるようになるのです。

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都合により肝心な手元は写せませんでした。

テレビの時代はまだまだこれからだと思いました。紹介は以上ですが、上記のブース以外も興味をそそるものばかりでした。
音響、有機ELディスプレイ、新たな記憶媒体等々どれもすごい技術の展示ばかりです。

みなさんもぜひ一度足を運んでみてください。
新たな発見と驚きで楽しめることうけあいです。

NHK技研公開2013   公開日5/30(木)~6/2(日)

公式ページ:www.nhk.or.jp/strl/open2013/index2.html

GGJ体験譚 『48時間以内にゲームを製作せよ!!』  

こんにちわ。あきらです。
記念すべきブログ初更新です。張り切り過ぎて醜態を晒さないように気をつけていきましょう。

さて、最初の記事は、先日私が参加してまいりました「グローバルゲームジャム」通称GGJ
についての思い出と感想を書き綴って参りたいと思います。

まず、「GGJってなに?」という人にざっくりGGJについての説明をしましょう。

GGJとは!
全世界同時開催の国際的なゲーム製作のイベントです!
7~8人のチームで48時間という限られた時間内に、全世界共通の「あるテーマ」に沿って企画の段階からゲームを製作し、完成させます。
ここでミソになるのは、チームメンバー同士全員が初対面であるということです。
「たった今顔を合わせた人と48時間以内にゲームを作る」
これがGGJです。

尚、この記事の一番下に私たちのチームが作ったゲームをダウンロードできるURLが張ってあります!
興味がある方は是非プレイしてください!

偉そうに語っていますが、今回が初参加の私です。
いや、実に、マジで緊張しました。名刺交換のときなんて顔真っ赤でした。
ただ、喉もと過ぎれば熱さ忘れるとはよく言ったもので、ファーストコンタクトを済ませてしまえば一気に落ち着きます。
そのあとすぐにチームメンバーで打ち解けることができました。緊張してるのはみんな同じなんですね。

言い忘れていましたが、各チームには必ずプロのゲーム屋さんが一人以上参加してくださっていています。
例外もありますが、基本的には頼れる敏腕ゲームクリエイターがチームリーダーとして我々を引っ張ってくれます。
2割の不安と2割の期待、そして6割のインタレスティンな気持ちが渦巻く中、ゲーム製作は開始します。

ここでGGJの説明の中にあった「あるテーマ」についてお話しましょう。
GGJ参加者全員が気になるそのテーマ。それは毎年変わります。

今年のテーマ それは 「ドッキンッ ドックンッ ドッキンッ」 です!!

…すみません。文字で表すのは無理なのです。
なんてったって今年のテーマ、音声ファイルのみで公開されました
スピーカーから流れてくる 電車の音のような、太鼓の音のような、心音のようなその音が
今年のテーマだというのです。
単語を期待していた私はあまりの衝撃に失禁寸前。危うく黒歴史を紡ぐところでした。

予想だにしないテーマにたじろぎ、驚きを隠せない参加者たち。
んー、運営サイドはさぞ気持ちよかったでしょうね。
ちなみに去年のテーマは「一枚の絵」だったそうです。GGJおっかない。

私たちのチームは
① テーマの音が何に聞こえたかをまとめ
② その音から連想できるワードを書き出し
③ 各々が考える「気持ちのいい瞬間」を列挙し
④ いい感じのネタが出るまで、ランダムに②と③を組み合わせてアイデアを出していきました。

心音に聞こえたなー 「赤ちゃん!!」
すげー轟いてたわ 「太鼓!!」

CDがコンポからニューッって出てくるの、気持ちいいなー スラスラッ
PCで長文を書いて、最後の一文を完成させたときのエンターキー! スターンッ って決める瞬間、気持ちいいなー カキカキ

そんな感じで自由です。

風、胎児、ジュマンジetc…
水切り、合体ロボ、爆破etc…

これらの 快感 と ワード が結びつき、

水切りする赤ちゃん
電車を投げ飛ばす合体ロボ
などなど一線を越えた面白いアイデアの種がたくさん出てきました。

そして我々の作るゲームの核となるアイデアが決まります。
それは「恋愛シューティング!!
どうしたらこの二つが結びつくのでしょう。最高です。

さぁ!!ここから作業開始!!
と思ったのですが、ここで自己紹介のときにチラッと顔を見せていた問題が浮上します。
実は私たちのチーム、「7人中6人がプログラマ、1人がプランナー」というなんとも天秤ブレイカーな構成となっていました。
まずデザイナーがいない!これは忌々しき事態です。
いろいろ話し合った結果、なんとプロのプログラマであるリーダーがデザインを担当することに、
そしてプログラマ志望だった私はプランナー兼デザイナー補佐になりました。

今度こそ作業が開始します!
プログラム担当のみなさんはモリモリぐんぐんプログラム組み上げていきます。
私はというと、もう一人のプランナーさんとリーダーと一緒にゲームの仕様を固めていきました。

話し合いを進めていくと、ふとある疑問が議題に上がります。
「サウンド、いなくね?」
そうなんですサウンド作れる人もいないのです!
フリーの素材を探してくるという手段も無きにしも非ず!しかしどうせなら自分たちで作りたい。
そんな中、リーダーがこういいました。

「こりゃ歌うしかねぇな…」

後にこの発言が、ゲームの完成度に大きな影響を与えることとなります。

そんなこんなで1日目(18時作業開始でした)が過ぎていきます。
GGJ経験者であるリーダー曰く、「明日は眠れない」。
寝れるうちに寝よう!ということで、朝7時集合という予定を立てて
深夜3時に一時休憩を挟みます。

ちょっと簡単にGGJ全体の時間的な流れを説明しておきますね。

1日目 18時 作業開始
2日目 21時 α版発表
3日目 12時 β版発表
      15時 作業終了

せわしない48時間はこんな流れで過ぎていきます。
α版はゲームのおおよその流れができたいわば「骨組み」の状態です。
β版はほぼ完成に近く、残すは微妙な調整のみという状態です。
ちなみに発表というのは、「U STREAMにて現状を全国にライブ配信すること」ですね。

…見てください。
α版~β版までの所要時間は、なんと15時間だけしかないのです!
開始~α版は、経験上何とかなります。なるものです。
でも!β版となると話は別です!
前述したとおり、β版は「ほぼ完成」なのです。
つまり、この15時間はまさにTHE 修羅!!モリッと完成に近づけなければなりません。

なんとなくでも伝わったでしょうか。
用はお風呂に入れないということです。

夜は明けまして2日目朝7時!
1月下旬の凍てつく寒さは、GGJ会場の東京工科大学といえども消し去れるものではありません。
もちろん布団も毛布も用意されていませんので、持参しなかったサムガリストは地獄を見ます。
私はひざ掛けを持ってきていたので案外いい睡眠が取れました。

α版発表が21時に待ち構えています。時間があるからといって油断はできません。
チームで作業内容を確認した後、各人仕事に入ります。

二日目の私の作業は主にキャラクターデザインです。
ゲームバランスや内容よりも、インパクトに重きを置こう!との方針により、インパクトのあるデザインを書くことになりました。
といっても、デザインにあまり自信のない私。
リーダーの助言を聞き、漫画の巨匠「漫☆画太郎」先生の絵を参考に、すこしずつ絵を完成させていきました。

思いのほか時間を食ってしまいまして、気付けばα版プレゼン間近。
プログラム班はなんとかα版発表までのノルマを達成しています。
しかし若干の不安とインパクトを有したデザインは、数がそろっていないこととα版とβ版の違いを大きく見せる戦略のためα版では使用せず、代わりに仮のモデルを出現させることになりました。

そしてα版発表!
リーダーの見事な話術と運びで、多くの謎を残した変なチームという思惑通りの印象を与えることに成功しました。

α版が終了してようやく一息。…なんて休憩も束の間。
なんていったってβ版まで時間がない!寝てる暇なんてない!作業もまだまだ残ってる!
栄養ドリンクでドーピングを図り、チームメンバーは作業に戻ります。

さて、夜も更けてきました頃、デザインも一通り終わってチーム内作業報告の時間です。
みんな順調に作業を進めて、特に問題も無く進行しています。プログラムについては今回ほぼ触っていないのでなんともいえませんが、ただ一つ言えるとしたらうちのチームのプログラマは恐ろしく優秀だったということです。
そしてこの報告の後、ついにゲームの完成度が大きく動きます。

「歌うしかねぇな…」

時計の針は0時を回って目が充血し、それでもなおデスクに向かい続ける同胞たちの横顔に励ましの目線を送る頃。
我らがリーダーの夢でもある作戦が動き出します。

BGMを歌って収録せよ!

だってしょうがないじゃん!サウンド用意する人いないんだもん!歌うしかねぇ!

この収録がめっちゃめちゃ面白い。
リーダーと私の二人でBGMを収録したのですが、当然初体験なわけです。
探り探りのBGM作りは、思い出しただけでも笑ってしまうような楽しい時間でした。

実際にプレイしてみてください。リーダーの歌声が聞けるのは、このゲームだけです!
耳に残るBGMを収録し、さっそくゲームに組み込んで大笑い。
私たちのゲームに欠かせない要素が追加された瞬間でした。

そうして時間は過ぎていき、プログラマ班の見事なコーディングにより、少しだけ寝る時間もできました。
作業していたデスクに伏せる私は、自分の腕枕の硬さなど気にもせずに一瞬で眠りに落ちます。

目を覚ませばついに3日目!
泣いても笑っても今日の15時にはすべてが終わる!
その前にβ版の発表があるわけで!

急ピッチで残りの作業を片付けます。
私はこのときエフェクトを作成していました。
それにしてもUnityの便利さには驚かされます。エフェクトですららくらく作れちゃうんですからね。

あっ!!
という間にβ版プレゼン!
組み込んだデザインとBGMでインパクトは随一!!
「GGJで何作ったの?……あー!あのゲームねぇ!笑」
と言われるゲームを目指し、そしてだいぶ完成に近づけることが出来ました。
私は何もしていませんが、β版発表も無事終了!

残すところは3時間。
それは逆に言うと、このメンバーでゲームが作れるタイムリミットでもあります。
ここには書けなかったメンバーとのやり取りの中で、初日では他人だったみんなはすでに仲間となっていました。
そんな思いを抱きながら、私は残されたエフェクト作成の作業を黙々と進めます。

「歌うしかねぇな…」

再び訪れたこのワード。
そうです。私たちのチームはSEまでもが声で構成されています。
担当した二人のプログラマが、見事なSEを収録し組み込んでくれました。

もう、私このSE大好きです。

SEの実装により、私たちのゲームはついに突き抜けました。
エフェクトの実装により、見た目もだいぶにぎやかになりました。

そして15時!
長いようでとっても短かった48時間の戦いが、参加者全員の割れんばかりの拍手と歓声によって幕を閉じました。
お風呂にも入れず、ろくに睡眠もとることも出来ず、ただひたすらにゲームを作り続けた48時間。
でも不思議と苦しいことはありませんでした。おそらく参加者全員が同じ気持ちだったでしょう。
なんてったって、GGJに参加する人はみんなゲーム作りが大好きなんだから!

どんなに大変でも、楽しいに決まってるんです!
最高に充実した48時間でした!

 

まとめです。
参加しての感想は、結論として「出てよかった」ということです。
参加を決めたのは開催日前日でした。正直最初はあまり乗り気ではありませんでしたが、ゲーム業界を目指している者として出ないわけにはいかないだろうと思い立ち、勢いに任せた次第です。
ゲーム業界の現場で働くプロの方と一緒にゲームを作れたこの経験は、間違いなく私の力になりました。
他の大学から集まった学生たちのレベルの高さや志も然りです。
48時間なんて短い!なんて思っていましたが、実際やってみると丸2日はそれなりに長いですし、それだけの時間をゲーム制作に当てれば、ゲームは形になります。考えるよりまず行動!これ大切です。

来年のGGJもきっと出ます!
1回参加してしまったら、その面白さにはまってしまうこと請け合いです。

いやー、本当に参加してよかった!

最後に、全世界のGGJ2013参加者に向けての労いの言葉を送ることで、この記事の結びといたします。

これからもゲームを愛し、ゲームを作り続け、ゲームで世界を盛り上げていきましょう!

みなさん本当にお疲れ様でした!

 

以下のURLからダウンロードページに飛べます。是非遊んでくださいねッ!
globalgamejam.org/2013/heartboiled

はじめまして!

こんにちわ。あきらです。
大学での講義の一環としてブログを立ち上げることになりました。

大学柄、情報系の技術やゲームに関する記事が多くなることでしょう。
興味のある方はどうぞご覧になってください。

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